製造本部 製造技術部
小川 亨
製造本部は、安全・品質・生産性を維持、改善を進めながら、より良いものづくりをする部門です。
主に四輪用触媒を生産する第1製造部をはじめ、二輪用触媒や触媒用材料などを生産する第2製造部、活性炭や燃料電池用電極触媒をつくる第3製造部があります。
私が所属する製造技術部は、新しい製品の製造方法について、製造現場の視点から検証します。作業者にとって、安全で作業がしやすいか。不良品が流出せず、品質を守れる工程になっているか。規定の時間内にものづくりができ、生産性に問題がないか…。などについてチェックしています。
また、製造現場について、技術的な視点から良品条件の見直しや、無駄のない効率的な生産方法を探求し、改善活動に取り組んでいます。
私は高等専門学校で機械工学を学び、2000年に入社しました。配属先では、新製品の生産立ち上げと製造現場で起きる不具合への対応を担当しました。
所属部署では、不具合の解決策を見出そうとするとき、「良くなると判断したら、まずはやってみろ。やってだめなら考えろ」という自由な雰囲気があったため、自分の意見を持って主体的に仕事ができました。
ある程度の経験を積むと、海外出張の機会が増えました。キャタラーノースアメリカ(CNA)や、キャタラータイランド(CTC)へ長期出張し、触媒を製造する工程を確立する仕事でした。現地スタッフに対し、「この条件で製造してください」「維持管理のためには、こうしてください」と具体的に指導し、生産ラインが問題なく動くレベルまで持って行きました。言葉によるコミュニケーションが難しかったため、図で示したり、私が手本を見せたりしていました。
海外拠点のスタッフに対しても、誠意をもって接すれば通じ合えることは体感していましたが、英語には苦労していました。そのため、キャタラーノースアメリカ(CNA)への出向を打診されたときには、「私でいいんですか」と驚きました。それでも、現地スタッフがPDCAサイクルを回せるようにし、現地の自立化を図るため、「問題を見つけて改善できるスタッフを育てて来い。お前のコピーを育てて来い」と言ってもらえたため、アメリカに行かせてもらうことにしました。
CNAでは、製造技術に限らず広い分野に目を向ける必要があるため、生産設備の保全や、製造現場の管理、品質保証などの部署の責任者にお願いし、基本中の基本を勉強させてもらいました。短時間で習得できることは限られていましたが、各分野のエキスパートの方から「困ったら、連絡をちょうだい」と言ってもらえる関係ができ、心強く思いました。
CNAへ赴任したとき、私は27歳。30代後半や40代の現地エンジニアや、製造リーダーたちに、キャタラーのものづくりを伝えようとしましたが、最初は意欲が空回りしていたと思います。まず、言葉が通じず、意思疎通が出来ませんでした。そこで私が取った対策は、ただ1つ。とにかく話す、とにかくコミュニケーションを取る。「正しく話せない、通じなくて当たり前だ。俺は日本人だ」と開き直ってぶつかっていきました。
現地のものづくりを改善するに当たって、CNAの社長から学ばせていただいたのは、スタッフの仕事に対する姿勢を変えなければならないということでした。
会社に来て、ただものをつくるのが、仕事ではない。「安全に、良品を決められた時間でつくることが、皆さんの仕事です」という心構えを伝えなければなりませんでした。
そこで力を入れて取り組んだのが、「見える化」でした。
作業者の目線で、製造現場の現状と目標がわかるように、掲示物を工夫しました。例えば、品質管理の担当者が提案したのは、共有スペースに不良品の触媒を積み上げる方法でした。「先月は100個の不良が出た」ということを示すため、パレットに100個の不良品を積み上げました。その隣には、「今月は不良の数が30個まで改善した」ことが一目でわかるように、30個を積み上げました。また、不良ゼロの日が続いていることを大きなポスターで表示しました。
一方で、改善の結果が出ないときは、現場に足を運び、自分の目で状況を見るという基本を徹底。CNA社長と副社長が率先して模範を示していました。
改善活動が成果に繋がっていることが、1人ひとりのスタッフに伝わるようになった結果、CNAの雰囲気が盛り上がるのを感じました。現場の人から「仕事が楽になったよ」と声をかけられることもありました。 品質や生産性の向上が数字で現れると、「やったぞ」と素直に感情を表現する現地スタッフもいて、私も仕事の喜びをかみしめました。 アメリカから帰国後は、改善グループに所属し、生産現場の品質、生産性改善に取り組んでいます。 キャタラーインドネシア(CIC)に出張し、四輪事業の開始プロジェクトに参加したときには、CNAでの経験から、現地スタッフに必要な能力、相手の知りたいことをある程度まで予測でき、より充実した教育、コミュニケーションを取ることができました。英語の課題はまだまだありますが、改善をしていきます。
■ 2014年 4月入社
■ 榊原 圭亮
※掲載している内容はインタビュー当時のものであり、現在の状況とは異なっている場合があります。