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研究開発本部 第1製品開発部 第11開発室T.M
2015年 新卒入社 理学研究科 卒
最近の出来事でうれしかったのは、自分が検討を進める中で生まれた技術が、量産予定の触媒に採用されたことです。研究開発を行う者として、これ以上の喜びはありません。
1つのものを頑張り続けることの大切さを学生時代に経験しましたが、それは企業で働く立場になっても同じであることを実感しています。
私は大学院で有機薄膜太陽電池の研究をしていました。就職先は、化学を軸にした地元企業がよいと思っていたところ、キャタラーを見つけました。
入社以来、四輪車用ガソリン触媒の製品開発に携わっています。
触媒の開発には数年必要です。開発初期はニーズに対して目標を決め、達成する為のアイテムを立案し、効果検証をしていきます。量産が近付くと各アイテムを組合せ、1つの触媒として具現化していきます。
現在取り組んでいるのは、5年後,10年後先の触媒を想定した先行開発です。資源の限られている貴金属をより少ない量で厳しい規制をクリアする為、触媒を構成する材料を改良し、反応速度の向上を試みています。
現在の業務の前に所属していたGrで量産化予定の触媒に採用された技術の中で、私の実験の中で偶然生まれた技術があります。自動車の燃費や出力を向上させるため、触媒には圧力損失の低さが求められます。そのためには、触媒内部を排気ガスが流れやすい構造にする必要があります。
ある時、理想的なコート構造が、研究の中で偶然にも実現できました。そこで、上司から、その構造の再現を命じられました。何度も再現に挑戦しましたが、思うような結果が得られませんでした。そのたびに、得られた実験データの現状把握、要因解析を行い、上司と議論しました。このPDCAを上司と一緒に何十回も繰り返しました。
結果として、触媒にコートするスラリー(コート液)のある性質が影響する事が分かり、それをコントロールする事で理想とするコート構造の実現に成功しました。
その技術を採用した触媒が量産されることになり、本当にうれしく思いました。
上司が根気よく指導してくださったおかげなのですが、当時はとても大変でした。検討の納期は厳守、検討の結果については合理的な説明を必ず付けることを求められました。その経験が、今の仕事を進める上での基礎になっています。
仕事の正念場で踏ん張れるのは、学生時代の経験があってこそだと思います。
私は中学・高校で陸上競技の400m走に打ち込みました。大学ではジャズサークルに入り、トランペットを夢中で練習しました。研究室に入ってからは、研究一途になり、他の学生・院生を圧倒するだけの成果(学術論文)を残してきました。
これらの経験は、キャタラーで研究開発を進める中で活きています。
今でもトランペットを吹いています。月に1,2回、平日夜に会社の同僚たちと一緒に、文化会館で練習しています。メンバーは管弦楽団や吹奏楽部の経験者から楽器初心者まで、さまざま。今は実力に差があるため、各自がピアノやギター、トロンボーンなどを思い思いに鳴らしています。いつかは皆で1曲、演奏できればいいな…と思っています。
※掲載している内容はインタビュー当時のものであり、現在の状況とは異なっている場合があります。